レチノール(ビタミンA)は、美容業界で長年にわたり注目されてきたエイジングケア成分です。
近年では、肌への刺激性や安定性の課題を克服した「レチノール誘導体」を活用した処方が主流となりつつありますが、「レチノールは刺激が強い」「酸化しやすい」といった課題から、配合に慎重になるブランドも少なくありません。本コラムでは、レチノールの特長や種類、OEM製造における配合のポイントについて解説いたします。
レチノールとは? その美容効果とメカニズム
レチノールの基本情報
レチノールは、ビタミンA(レチノイド)の一種で、脂溶性の抗酸化ビタミンです。体内で代謝されることで肌のターンオーバーをサポートする作用を持ちます。食事からも摂取することが可能で、レバーや乳製品などの動物性食品やβカロテンを含む緑黄色野菜から、ビタミンAの前駆体「プロビタミンA」を体内に取り込むことができます。
もともと肌に存在するレチノールは肌のヒアルロン酸、コラーゲンを作りだす源の成分で、レチノールの減少が、シワやたるみの要因の一つであることがわかっています。

レチノールの主な美容効果
✔ ハリ・弾力ケア:様々な要因で減少するコラーゲンやエラスチンに着目。肌のハリと弾力を高めて若々しい肌印象に。
✔ 肌リズムを整える:乱れた肌リズムに寄り添うケアで肌の柔軟性を助け、乾燥や古い角質によるくすみを軽減。
✔ 引き締めサポート:皮脂により気になる肌をなめらかに引き締め、毛穴が詰まりがちな肌を健やかに整えます。

このように、レチノールはエイジングケア市場において欠かせない成分となっています。
レチノールが引き起こすA反応について
レチノールを塗布すると、A反応と呼ばれる症状が現れます。一時的に赤み、皮剥け、乾燥、かゆみなどが現れますが、肌がビタミンAに慣れてくると症状は落ち着きます。
A反応の症状
症状 | 特徴 |
乾燥感 | 肌がつっぱる、カサカサする |
赤み | 特に頬・鼻まわりなどの薄い部位に出やすい |
ピリピリ感 | 刺激を感じることがあるが、通常は軽度 |
皮むけ | 微細な角質が剥がれるような症状 |
ごわつき | ターンオーバー促進により、一時的に肌表面が固くなることも |
なぜ起こるのか
肌にあるレチノールは少ない量なので、外側からレチノールが⼊ってくると、肌が異常事態だと勘違いして、急激に肌の新陳代謝が促されます。それに伴い、古い角質が急ぎ剥がれ落ちる働きによって、肌が一時的に刺激を受けて様々な症状が起きてしまうのです。
A反応が起こりにくいレチノール原料などもあるため、レチノールの種類なども知っておくとよいでしょう。
レチノールの種類と働き
- レチノール誘導体:マイルドな使用感で初心者向け
- レチノール(ピュア):効果的だが、安定性に注意
- レチナール・レチノイン酸:医薬品、医薬部外品や高機能製品向け

レチノールやレチナールはそのままでは効果を発揮しません。肌に塗布すると肌の酵素によって代謝され、レチノール→レチナール→レチノイン酸と変化して効果を発揮します。
レチノイン酸の効果が高いとされているのは、変換ステップが必要ないからです。ただ、肌への刺激は強くなります。レチノール誘導体は、酸化しやすく熱や光に弱いピュアなレチノールを安定させることができるのですが、レチノールと比較して作用が穏やかで、効果を感じるまで時間がかかる場合があります。
■マイルドさと効果を両立するレチノイルヒアルロン酸Na
肌刺激が少なく、よりレチノールの効果を実感しやすいレチノール誘導体の一つとしてレチノイルヒアルロン酸Naがあります。レチノールよりも最終変化したときに効果があるレチノイン酸をヒアルロン酸と結合させた弱酸性レチノール誘導体で、優しく浸透し、効率よく肌へ働きかけます。肌に必要なレチノールは少量でOK。しっかり浸透して、少量のレチノイン酸が肌細胞に働きかければ、A反応が起こりにくく、肌の弾力サポートに効果があるという考え方で開発されました。

OEM製造の際には、コンセプトに合わせて、安定性に優れたレチノール誘導体を選ぶこともポイントです。
OEM製品の設計ポイント
OEMで化粧品を開発する際、レチノールを配合することで、高付加価値な製品を生み出すことが可能ですが、ターゲットに合わせた製品コンセプトが重要です。単なるレチノール配合ではなく「肌悩みに寄り添った処方設計」を行う場合は、以下の点を押さえることが大切です。
1️⃣「作用」の強度設定
複数のレチノール原料より、作用強度を加味した選定を行う。強度が高ければターゲットは絞られ、マイルドな設計は肌状態を選ばずご使用頂ける処方に。
2️⃣「古い角質の排出」と「修復と生成サポート」のWケア
古い角質の排出をサポートする〈レチノール〉と、健やかな肌をサポートする成分〈ヒト幹細胞培養液、エクソソーム〉などを合わせることで、肌が入れ替わるメカニズムに着目したWのケアができ、より魅力的な処方に。
3️⃣「攻め」と「守り」のバランス
レチノールのパワフルな作用を活かしながら、セラミド・ナイアシンアミドなどを組み合わせることで、肌のバリア機能を守ります。
価格設定はもちろんのこと、ターゲット層の肌悩みや使用シーンを考慮しながら、OEMでの開発を進めましょう。
レチノール配合のスキンケアをお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
処方実績のある私達OEMが、スキンケアコンセプトに合わせた処方設計をご紹介いたします。